昔から焚き火が好きで、ここ最近は焚き火のイベントを開催しています。
ちょうど良い秋の季節になり、つい先日、焚き火×ヒトリゴトというイベントを開催しました。
そこで僕はある発見をしました。
それは、焚き火を囲む全ての人はよくしゃべるなぁという発見でした。
それも、当たり障りのない話だけではなくて、自分の現在抱えている葛藤や人生についての価値観など、普通だったら初対面の人には話さないような、内容がボロボロと出てくるのです。
いったいなぜ?
口が勝手に開き、語り出してしまう秘密を勝手に分析してみることにしました!
イベント運営・チームビルディングなど”場”をつくる機会がある方の何かしらのヒントになれば幸いです。
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野外が決め手!

イベントごとを野外でやるのは正直かなりめんどうくさいです。
雨が降ったらどうしよう。
風が吹いていたらどうしよう。
虫に刺されるのは嫌だな。
などなど、いくらでも想定しなくてはいけない事態があり、心配も尽きません。
でも、それを補って余りあるほどのメリットが野外というフィールドにはあります。
野外が僕たちの想像力を広げてくれる
野外では外気と自分を隔てる壁がありません。
寒い風はダイレクトに身体に吹き付け、雨は手の甲にポツリと降りかかります。
そして、視線を空へと向ければ青色の空が見えますし、夕暮れになれば一番星を発見することだってできます。
簡単に言えば、野外とは空間的な軸が遠く遠くへと伸びていきやすいという環境なのです。
室内では、プラネタリウムでもない限り、自然と星に思いをはせることはないでしょう。
同じように、鳥の鳴き声を自然と思い出すこともないでしょう。
しかし、野外という空間では
いつ何時、流れ星が流れるやもしれませんし、鈴虫が鳴き出すかもしれません。そういう管理することのできない様々な環境要因(言ってみれば不確定な出来事)が僕たちを刺激するのです。
そんな環境要因は私たちの身体に作用し、そして思考にも作用します。
鈴虫の鳴き声を聞いて、田舎のおばあちゃん家で遊んだ子供のころの夏休みを思い出すかのように、僕たちはふとした外部の刺激に対して実に様々な意図せぬ記憶を思い出してしまうものです。
空間がパーテーションされていない野外から僕たちは無数の刺激を受け取り、その刺激を元にして、想像力を広げて思考し、語ることができるのです。
予想できないことも起きる野外空間は、空間や時間軸を超えて想像し、考えるのにぴったりの場所。
暗さが決め手!

当たり前ですが、夜の野外は暗いです。
場所によっては手元も見えないくらいですが、だからこそ、焚き火の炎の揺らぎがよく感じられます。
見られていないという安心感
基本的に、人間は暗闇を恐れる生き物です。
でも、暗闇の方が落ち着く、という時もあります。
正確に言えば、暗闇が作りだす自分が見られない、という環境が人を落ち着かせるのです。
例えば、プレゼンテーションをするために人前に立ったとき
あの人が睨んでるなあ
今日の服装変じゃないかな
プレゼンがうまくいかなかったら怒られるんだろうなぁ
などと状況見ながら、様々なことに気をとられると、自分の思考は飽和状態になって良いプレゼンはできないでしょう。
それは、見られている=評価されている
ことへのプレッシャーです。
ですから、暗いということ=見えない(見られていない)
という状況は逆説的に安心感を生み出し、人が話をしやすい環境をつくるのです。
バーやクラブ会場などでも、話や踊りに集中するために照明が暗めなのもそう言った理由があるのかもしれませんね。
炎の揺らぎが心を揺らす
暗さが大切ということを書きましたが、だからと言って真っ暗はよくありません。
程よい明るさが、人々をリラックスさせて独りでに話し出すためのきっかけとして必要で、そういった意味でも、焚き火の揺らぎは、自然にその程よい明るさを演出する最高のツールになります。
視界の先の炎が揺らぎながら、燃え上がったり、落ち着いたりを繰り返しながら燃え続け、それは波が浜辺に寄せ返すのと同じようなリズム感で、砂をさらうように、ゆっくりと心に溜まった言葉を紐解いていきます。
まぶたを閉じてみると、自分の話す声がどこか遠くから聞こえてくるような、そんな気もしてきます。
まるで、ゆりかごに揺られているように、ゆっくりと簡単な瞑想状態に入っていくのです。
もちろん炎の暖かさが人を無条件に安心させますしね。
暗い=見えていない、が安心感をもたらす
焚き火は程よい明るさと揺らぎを演出して、リラックスしやすい環境を作る
聞き合うことが決め手

本当に単純なことですが、焚き火に限らず自分のことを語りやすい環境を整えるために最も重要なこと、
それは、その場にいる人たちが一人一人の語りに耳をすまして聞き合うことです。
安心感とは聞かれること
人は相手に対する安心感によって話す内容や態度が変わります。
親友であれば、自分の悩みを全て話すでしょう。
家族には気兼ねゼロで甘えることができます(もちろん人によるでしょうが)
逆に初対面の人と最初から全力で打ち解けられる人はそう多くないかもそれません。
それは、その人に対してどれだけ安心感を抱いているか、言い換えれば、どれだけ話を聞いてもらったかによるのだと思います。
不特定多数が集まるイベントにおいて、この安心感をいかにして作っていくかということは、人と人、人とトピック、人と場といった、様々なファクターが出会うどのフェーズにおいても大切になってくる考え方です。
そのイベントを通じて自分が発見した喜びや違和感などを話すこと、そしてそれをその場にいる人に全力で聞いてもらうこと。それによって少しずつその場所で自分がいる存在意義が感じられ、それが安心感につながっていくのです。
子供が安心感を感じるプロセスについてはこちら
https://tabiteshigoto.com/homeaway/
焚き火とトーキングオブジェクト相性がいい
実際に、話を聞き合う、人の声に耳をすますというのを実践する際に役に立つツールがあります。
それが、トーキングオブジェクトというもの。
もともとはネイティブアメリカンが話し合いの際にそれを持っている人が発言権を持つという用途で用いていた、トーキングスティックから転用されたものと言われています。
ものはなんでもいいのですが、僕はアサラト(パチカ)という西アフリカの楽器を使っています。
理由としては軽い(持ち運びしやすい)、音がなり、遊べるから。
トーキングオブジェクトは持っている人しか発言できないので、話に連続性を求める実際の会議などで活用するのは難しいのですが、焚き火との相性は抜群に良いです。
おそらく、焚き火を囲んでいる人たちは基本的にぼんやりーっとしているので、一人一人の話が断続的に語られるのが気にならないということ。
それに、話している方も、暗闇の中でのひとりごとを語っているかのようになるので、自分が聞いてもらっていることを忘れているからなのだと思います。(だからつい話が長引く人も多いのです。でも暖かく見守ってあげましょう)
オブジェクトを持った人が話している間は、他の人は好きなスタンスで話を聞いています。
そして一人が話し終わったら、自分が話を聞きたい人へ、オブジェクトを手渡しする。
それを繰り返しながら一周ぐるっと自己紹介をすると、それだけで場は温まり、人の言葉は滑らかになっています。
イベントでは互いに話を聞き合うようにファシリテーションするのが大切
焚き火とトーキングオブジェクトの相性は良いので積極的に活用すべし
まとめ。焚き火ガタリマジックとは!
以上、なぜ人は焚き火の前では饒舌になるのか?の分析いかがだったでしょうか?
もう一度簡単におさらいしておきます。
野外が決め手
自然の外的な刺激な空間的な広がりによって想像力が高まり、従来にない発想や思い出が引き出される
暗さが決め手
暗い=見られていない、評価されることを気にせずに話すことができる。また、焚き火の揺らぎが程よくトランス(瞑想)状態を引き起こし舌が滑らかになる。
聞き合うことが決め手
人は安心感を感じると饒舌になる。安心感を蓄積するために話を聞いてもらうという経験が大切。そして焚き火とトーキングオブジェクトの相性は抜群に良い。
何か参考になったり、発見に繋がることがあれば幸いです!
これを機に焚き火に興味が湧いたよ!という方はぜひHPの方を見てくれたら嬉しいです。
それでは、また!